三菱重工業は、AIデータセンターの急増による電力需要の拡大を見据え、大型ガスタービンの生産能力を2030年度までに2024年度比の2倍に引き上げる。2027年度から2029年度を対象とする次期中期経営計画において、日米の生産拠点に1000億円超を投じる方針である。 背景には、再生可能エネルギーよりも安定して発電できるガス火力発電への需要の高まりがある。世界的なデータセンターの電力需要増に伴い、米国でのJERAによる発電所新設など、AI特需がサプライチェーン全体に波及している。三菱重工業は、高砂製作所での製造工程の見直しによる生産性向上に加え、需要が増大しているブレードなどの補修・交換用部品の製造設備も日米で増強する。 同社のガスタービン事業は、2026年3月期の連結売上収益が前期比25%増の9922億円と好調に推移しており、2025年度の受注残台数も過去最高の74台に達している。同社は、米GEベルノバ、独シーメンス・エナジーと並ぶ世界3強の一角として、大型投資を通じて米欧のライバルとのAI需要争奪戦を優位に進める構えである。
Sourcehttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260628&ng=DGKKZO97209930Y6A620C2MM8000
三菱重工業は大型ガスタービン(総合2面きょうのことば)の生産能力を2030年度に24年度比で2倍に引き上げる。AI(人工知能)データセンターでの電力消費量の急増で米国を中心にガス火力発電所の新増設が相次ぐ。日米の生産拠点に1000億円超を投じる。
ガス火力を巡っては国内火力最大手のJERAが米国でAIデータセンターに隣接する大型発電所の新設を決めた。米テック企業によるAI特需の恩恵が発電設備のサプライチェーン(供給網)にも広がっている。
三菱重工は大型ガスタービンを手掛ける高砂製作所(兵庫県高砂市)で、タービン本体の工程数の見直し・削減を進め、生産能力を倍増させる。ブレードなどの補修・交換に使う部品の製造設備は日米で増強する。
増産に向けた1000億円超の投資は27~29年度を対象期間とする次期中期経営計画に盛り込む。
三菱重工の西尾浩最高財務責任者(CFO)は日本経済新聞の取材に「アフターサービス需要も増えている。ブレードや燃焼器などを増産する必要がある」と答えた。
国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のデータセンターの電力需要は30年までに24年比2倍に達する見込みだ。
ガス火力は石油や石炭などを燃料に使う火力発電より二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、環境への負担が小さい。再生可能エネルギーよりも安定して発電できるため、大量の電力を消費するデータセンター向けで需要が高まっている。
西尾氏はガスタービンの世界需要について、今後5年は「平均で年70ギガワット(1ギガワット=100万キロワット)程度で推移する」との見通しを示す。
三菱重工のガスタービン事業は足元で好調だ。26年3月期の同事業の売上高に相当する連結売上収益(国際会計基準)は9922億円と前の期に比べ25%増えた。
ガスタービンは一旦導入すると長期間使われる。保守契約や部品交換などの継続的なアフターサービス需要も30年に主力機種で300台を超える見通しという。
25年度の受注残台数は過去最高の74台に達した。供給力が成長への課題となっていた。
三菱重工は大型ガスタービンで米GEベルノバと独シーメンス・エナジーと並ぶ世界3強の一角を占める。大型投資に踏み切ることで、米欧のライバルとのAI需要争奪戦を優位に進めたい考えだ。
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