ホンダは米国で人工知能(AI)用データセンター向けの電池の生産を始めた。電気自動車(EV)向け電池を生産予定だったが、EV戦略を抜本修正した。EV需要が戻るまでAI向けで時間を稼ぎ、拠点の存続につなげる。

ホンダは米オハイオ州の工場で6月前半、韓国LGエネルギーソリューションと共同で、データセンター用のエネルギー貯蔵システム(ESS)向け電池の生産を開始した。ESSは太陽光発電の発電量が多い昼間などに蓄電し不足時に放電する。電気代を抑えるのに加え、非常時の停電に備える役目も果たす。

ホンダとLGエネは22年12月に合弁会社を設立した。当初はEV用のリチウムイオン電池を生産する計画だった。工場は25年までに完成したものの、同年に就任したトランプ米大統領がEV購入時の税控除を撤回するなどしEV市場が冷え込んだ。

ホンダは米国生産する予定だった旗艦EV「ゼロシリーズ」と高級車ブランド「アキュラ」計3車種の開発を中止するなどEV戦略を抜本的に見直した。これにより当面の電池の供給先がなくなった。

ホンダは28年から同工場でハイブリッド車(HV)向け電池の生産を始める。LGエネから工場建屋などの資産を25億ドル(約4000億円)で取得し、電動化の進捗に応じてESSとHV向けの生産を調整する。