【イスタンブール=渡辺夏奈】米国とイランがホルムズ海峡周辺で報復攻撃を続けている。両国が17日に覚書に署名して以降、攻撃の応酬は初めて。双方は覚書への違反行為だと互いを非難しており、最終合意に向けた今後の協議に影響を及ぼす可能性がある。

バーレーン外務省によると27日早朝、複数のイランのドローン(無人機)による攻撃があった。同省は「イランが和平努力を傷つけている」と非難した。

米中央軍が26日にイランの軍事施設を攻撃したことへの報復とみられる。イラン外務省は27日、米軍の攻撃は「(戦闘終結に向けた)覚書への明白な違反だ」と非難し、報復として米軍に関連する標的を攻撃したと主張していた。バーレーンには米軍基地がある。

英海事機関(UKMTO)は27日、ホルムズ海峡でもタンカーに対する未確認飛翔(ひしょう)体の攻撃があったと明らかにした。

トランプ米大統領は26日、イランがホルムズ海峡を通過する貨物船をドローンで攻撃したとして、SNSで「停戦協定への愚かな違反行為だ」と批判。米中央軍は同日、イランのミサイルやドローンの保管庫、レーダー施設を攻撃した。双方が互いの合意違反を指摘し合う状況となっている。

米イランは戦闘終結に向けた覚書に署名後、最終合意に向けた交渉を進める。米国は30日にもスイスで実務者協議を実施するとしている。

レバノン情勢も今後の交渉を左右する要素となる。覚書にはレバノンを含むあらゆる前線での戦闘終結が規定されている。それにもかかわらずイスラエルがレバノンの親イラン組織ヒズボラへの攻撃を続けているとイランは反発している。

イスラエルとレバノンの両政府は26日、米国の仲介の下、和平実現に向けた枠組み合意に署名した。ヒズボラを武装解除し、将来的にイスラエル軍が国境まで撤収する構想だ。

イスラエル軍が駐留する一部地域を試験的にレバノン軍に引き渡す計画も新たに打ち出した。レバノン政府がヒズボラを武装解除し、主権を回復する計画の一部と位置づけた。

レバノン軍はヒズボラを武装解除するだけの軍事力を持っていないとみられ、合意が履行されるかは不透明だ。イスラエルメディアによると、イスラエルのネタニヤフ首相は26日、「ヒズボラが武装解除するまで(緩衝地帯を)維持する」と述べ、レバノン南部で軍の駐留を続ける考えを改めて示した。

ヒズボラの指導者カセム師は27日、イスラエル軍の撤収とヒズボラの武装解除を結びつけるのは「レッドライン(越えてはならない一線)だ」と主張し、「(合意は)無効だ」と訴えた。イスラエル軍を撤収させるため、圧力をかける必要があると説いた。

レバノンの国営通信は27日、同国南部でイスラエル軍による攻撃があったと伝えた。両国はこれまでにも複数回、停戦合意を結んだが、戦闘が再発していた。