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益子氏が「監督が怒ってはいけない大会」を自らの意志で開始したことは、スポーツ界の旧弊に対し、著名なOGが異を唱えたという意味で大きな意義を持つ。ただし、益子氏の行動は個人の体験に基づくものであり、指導の是非は受け手の感じ方によって異なる場合もある。 勝敗がすべてとされる殺伐としたスポーツ界において、益子氏は「せめて子供とスポーツの出会いは幸福なものであってほしい」と願っている。結果が伴わなければ「負け犬の遠ぼえ」とされる矛盾を抱える世界だからこそ、その願いには共感せざるを得ない。
Sourcehttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260628&ng=DGKKZO97205240X20C26A6EA1000
この人は「敗者復活戦」を戦っているのではないか。輝かしい選手時代も、本人にとっては不本意な負け戦だった。引退から時を経て「監督が怒ってはいけない大会」という試合を自らの意志で開始した。
スポーツ界の旧弊に対し、著名なOGがファイティングポーズをとった意味は大きい。ただし益子氏の行動は個人的な体験に基づくものであり、その手法が万能とは限らない。パワハラか否かは相手の感じ方次第。選手が監督に、生徒が教師に、子が親に、部下が上司に強い指導を求めるケースもあるだろう。
勝つことだけがすべてではない。それでも実際にそう言えるのは勝者だけという矛盾がスポーツ界にはあるようだ。結果が出なければ、負け犬の遠ぼえ。そんな殺伐とした世界だからこそ「せめて子供とスポーツの出会いは幸福なものであってほしい」という益子氏の願いには共感せずにいられない。
(阿刀田寛)